「学校歯科医生涯研修制度」 基礎研修、更新研修の開催

 令和6年2月3日(土)午後2時00分~6時40分、福岡県歯科医師会館5階視聴覚室において、「学校歯科医生涯研修制度」基礎研修 併催 福岡県学校歯科医新任研修会、更新研修が開催されました。今年度も、福岡市学校歯科医会との共同開催となりました。
 「学校歯科医生涯研修制度」とは、「全ての学校歯科医が歯科医師としての専門性を活かしながら教育者としての資質を備え、積極的に学校歯科保健活動を推進し、生涯にわたってその資質の維持と向上を図り幼児、児童生徒の歯・口腔の健康増進に貢献すること」を目的にしています。
 基礎研修では全国共通のテキストを用い、学校歯科医としての共通認識を持ち、「保健概念」「保健教育」「保健管理」「組織活動」に関する基礎的な事項について研修を行っています。
 福岡県学校歯科医会では、この基礎研修会と同時に、福岡県学校歯科医新任研修会も併催しています。
 福岡県学校歯科医会平瀬会長のご挨拶の後、次のように研修1~4の講習が開催されました。

研修1:「学校歯科保健の概念を把握する」
    福岡市学校歯科医会常務理事 堀尾 政司 先生 

  • 学校教育の目的と理念を理解する
  • 学校保健の中の学校歯科保健の位置付けを理解する
  • 学校歯科医の学校歯科保健における役割を理解する
  • 学校保健安全計画を理解する
  • 学校保健委員会、地域学校保健委員会について理解する

研修2:「学校歯科保健における保健教育を理解する」
    福岡県教育庁教育振興部体育スポーツ健康課保健給食係指導主事 坂田 祐也 先生

  • 保健教育の領域と構造(内容)を理解する
  • 子どもの発達段階に即した学校歯科保健教育のねらいや内容を説明できる
  • 学校における歯科保健教育の内容を理解する
  • 健康診断の事後措置としての歯科保健教育を理解する

研修3:「学校歯科保健における保健管理を理解する」
    福岡県学校歯科医会理事 楠本 俊司 先生

  • 定期健康診断の意義を理解する
  • 就学時健康診断及び臨時健康診断の意義を理解する
  • 歯・口腔の健康診断を理解する
  • 保健調査の意義を理解する
  • 健康診断の基準を理解する

研修4:「学校歯科保健における組織活動を理解する」
    福岡県学校歯科医会理事 入江 祐彰 先生

  • 教職員の組織、指導体制および校内研修の重要性を理解する
  • 家庭およびPTAとの連携のあり方を理解する
  • 地域の関係機関・団体との連携および学校間の連携のあり方を理解する
  • 学校歯科医とかかりつけ歯科医との連携のあり方を理解する
  • 学校保健委員会、地域学校保健委員会について理解する。

 講師の先生方の熱の入った約3時間にわたる研修が終了し、質疑応答の後、修了証が手渡されました。未受講の先生方は、学校歯科医の義務として来年度の基礎研修会を是非受講していただき、明日からの学校歯科保健指導、学校健診に役立てていただきますようお願い致します。
 引き続き、午後5時15分~6時40分、次の内容で更新研修が開催されました。

「教育関連法規の理解と改定のポイントについて」
 福岡県学校歯科医会専務理事 加来 弘志 先生

① 教育関連法規等と学校歯科保健について学ぼう

② ポイントを理解しよう

1:新学習指導要領

2:第2次(第3次:令和4年度~)学校安全の推進に関する計画

3:第3次(第4次:令和3年度~)食育推進基本計画

4:第2期(第3期:令和4年度~)スポーツ基本計画

その他:「学校歯科医の活動指針」の改訂

 講師の先生方の熱の入った約4時間半にわたる研修会が終了し、いずれの研修も質疑応答の後、修了証が手渡され、三箇副会長の挨拶の後閉会しました。
 未受講の先生方は、学校歯科医の義務として来年度の研修を是非受講していただき、明日からの学校歯科保健指導、学校健診に役立てていただきますようお願い致します。

「学校歯科医生涯研修制度」基礎研修質問への回答

★質問【要望】 1★

学校健診の時に、前歯部の開口とか交叉咬合、反対咬合などはすぐにわかるが、ここ14~5年、第2大臼歯の下顎の舌側転位、上顎の頬側転位をけっこうみる。この状況を記載するところが、歯列咬合のところしかない。学校の先生も、保護者も臼歯なので、見えないため気がついてない。この状況を、どこかに記載できるところを考えてほしい。要望です。

歯列・咬合の判定基準は、矯正治療の必要性を判断するのでなく、学校歯科医として、子供の将来の口腔の健康にとってその状態がどのようなリスクを持つ可能性があるかということに留意して診断することになっています。第2大臼歯の下顎の舌側転位、上顎の頬側転位についても、その基準基づき判断するわけですが、結果を記載するのは、「0.1.2」で判断し記入するしかありません。そのため、健康診断時において、どうしても記載が必要と学校歯科医が判断した場合は、「学校歯科医所見欄」に記入していただければと考えます。

★質問 2★

探針の使用について

歯科健診は、主に視診で行うことになっております。しかしながら、時として健診時に歯面及びう窩或いは軟化した実質欠損等に付着しているプラークや食渣を取り除くときや、裂溝のシーラントやレジン充填などの充填物の有無を確認するときは必要と考えています。探針は健診の補助器具として使用し、探針の先は鋭利なものではなく、また歯面に対して水平的に動かし、垂直的な圧力を加えて歯面を傷つけることがないように使用する必要があります。

★質問 3★

COは乳歯にも適応するか

COは、永久歯にも乳歯にも適応されます。