「学校歯科医生涯研修制度」基礎研修 併催 学校歯科医新任研修会・更新研修

 令和3年度日本学校歯科医会、福岡県学校歯科医会主催の「学校歯科医生涯研修制度」基礎研修 併催 学校歯科医新任研修会・更新研修が、令和4年4月16日(土)14:00〜18:40の日程で、県歯科医師会館5階大ホールにおいて開催された。 

 菅義浩常務理事による司会進行の下、平瀬久義会長の開会挨拶後、基礎研修が行なわれた。はじめに会長により研修1「学校歯科保健の概念を把握する」の演題の下、学校教育の目的と理念、学校保健の中の学校歯科保健の位置付け、学校歯科医の学校歯科保健における役割、学校歯科保健計画について説明がなされ、まとめの言葉として学校歯科保健活動においては、学校歯科医は歯科医師であると同時に学校での「健康教育の先生」という自覚をもっていただきたいということを概念の言葉として締めくくられた。 

 研修2は、福岡県教育庁教育振興部体育スポーツ健康課保健給食係指導主事の坂田祐也講師が「学校歯科保健における保健教育を理解する」の演題の下、保健教育の領域と構造(内容)、子供の発達段階に即した学校歯科保健教育のねらいや内容、学校における歯科保健教育の内容、健康診断の事後措置としての歯科保健教育などの説明がなされた。 

 続く研修3「学校歯科保健における保健管理」では、福岡県学校歯科医会安藤徹理事が担当し、定期健康診断の意義、就学時健康診断および臨時健康診断の意義、歯・口腔の健康診断、保健調査の意義、健康診断の基準、健康診断の事後措置の意義、 健康相談の意義、 健康診断結果の分析と評価、健康課題への対応計画の提示、 歯・口腔の傷害について、学校保健安全法に基づく医療券について解説がなされた。CO、CO(要相談)やう蝕多発傾向者の判定基準、記載漏れの多いG、GO、ZSや学校歯科医所見欄の漏れを防ぐための記録者との打ち合わせなどを確認した。また会場より質問のあったサホライドの事項についてう蝕の進行が止まっている場合には㋚を補助記号として記入し、未処置歯として扱うが、治療勧告しない旨の説明がなされた。 

 最後に研修4「学校歯科保健における組織活動を理解する」を福岡県学校歯科医会入江祐彰理事が務め、①教職員の組織・協力体制および校内研修の重要性、②家庭およびPTAとの連携のあり方、③地域の関係機関・団体との連携および学校間の連携のあり方、④学校歯科医とかかりつけ歯科医との連携のあり方、⑤学校歯科保健委員会・地域学校歯科保健委員会について述べられた。 

 次に17時15分より、平瀬久義会長の開会挨拶の後、更新研修が開催された。講演は福岡県学校歯科医会加来弘志常務理事により「教育関連法規の理解と改訂のポイントについて」の演題の下6つのポイントに分けて説明がなされた。 

  1. 教育振興基本計画について:
    今後の教育政策に関する基本的な方針で、夢と志を持ち、可能性に挑戦するために必要な力を育成する事を目標とする。
  2. 新学習指導要領について
    [何ができるようになるか][何を学ぶか][どのように学ぶか]と3つの柱を基本とされており、学校歯科保健では、歯、口の健康に対して情報の収集能力を高めて、自律的な健康管理する能力を育成する事を目標とする。
  3. 第2次学校安全の推進に関する計画について
    全ての児童生徒等が、安全に関する資質・能力を身につけることを目指し、学校管理下における児童生徒の事故に関して、発生件数を限りなくゼロとすることを目標とすると共に、障害や重度の負傷を伴う事故を減少傾向にすることを目標とする。
  4. 第3次食育推進基本計画について
    学校における歯科からの立場から食育支援に協力し、食育を通じた健康状態の改善等の推進を目標とする。
  5. 第4次食育推進基本計画について
    国民の健全な食生活の実現と、環境や食文化を意識した持続可能な社会の実現のために、SDGsの考え方を踏まえながら、多様な関係者が相互の理解を深め、連携・協働し、国民運動として食育を推進する。
  6. 第2期スポーツ基本計画について
    学校体育活動中の事故等の情報提供や、事故防止に関する研修等を充実する事により、学校体育活動中における事故防止の取組を推進し、マウスガードの着用の効果等の普及啓発を目標とする。

 また、令和元年度学校保健統計速報についても触れられ、年齢別むし歯(う歯)のものの割合等、中学校におけるむし歯(う歯)の被患率等の推移、むし歯(う歯)のものの割合の推移について解説された。 

基礎研修、更新研修それぞれ研修終了後、地区ごとに研修修了証が配布され散会となった 

参加人数は基礎研修は福岡市学歯会員含め87名、更新研修は33名であった。 

 今年度も福岡県学校歯科医会では、基礎研修・更新研修を開催し、より多くの先生方に受講していただければと考えております。未受講の先生方は、学校歯科医の義務として是非受講していただき、明日からの学校歯科保健指導、学校健診に役立てていただきますようお願い致します。